
親が亡くなった後、遺品整理を進める中で悩ましいのが「車」の扱いです。
この記事では、親が乗っていた車を引き継ぐにはなぜ名義変更がなぜ必要なのか、必要書類や手続きの流れ、売却との比較、そして相続放棄を検討している場合の注意点まで、トラブルを回避するために知っておきたいポイントを詳しく解説します。
目次
親が亡くなった後、車の名義変更はなぜ必要なのか?
親が亡くなると、車は相続財産として扱われます。名義をそのままにしたまま運転するのは違法で、保険や税金の手続きも進められません。万が一事故を起こした場合、大きなトラブルの原因にもなりかねません。
遺品整理を進める中で、車の扱いは後回しにしがちです。しかし、相続財産の整理という意味でも、早めの名義変更が大切です。遺族間のトラブルを防ぐためにも、正しい手続きを知っておくことが安心につながるでしょう。
死亡後にそのまま乗り続けるとどうなる?
故人名義のまま車を使い続けると、たとえ相続人であっても法的には無権利者と見なされ、任意保険が適用されず、事故の際に保険金が支払われないリスクがあります。
また、自動車税の請求や売却、廃車の手続きが進められないなど、家族に大きな負担がかかる恐れがあります。そのため、早めに手続きを進めることが安心への第一歩です。
名義変更は遺品整理の一環
車の名義変更は単なる手続きではなく、遺品整理の一環です。遺品整理とは、故人の残したものを整理し、家族の生活や気持ちを整理する作業でもあります。
車も故人の大切な財産の一つですが、形ある遺品の中でも、車は税金や保険、維持費がかかるため、そのまま放置するわけにはいきません。名義変更をきちんと行うことで、残された家族の心の負担を減らし、後々のトラブルを避けることにつながります。
親の死亡後、車の名義変更に必要な書類は?
親の死後、車の名義変更をするには、親の死亡を証明する書類や戸籍謄本、相続人全員の同意書、車検証、自動車税納税証明書など、多くの書類が必要です。揃えるのに時間がかかることもあるため、早めに必要書類を把握し、リスト化して準備を進めましょう。
以下が、名義変更に必要な主な書類です。
戸籍謄本
発行から3ヶ月以内の車の所有者の死亡の事実が確認できるもの、および相続人全員が確認できる戸籍謄本が必要です。本籍地の役所で取得する必要がありますが、取得には直接窓口で請求する方法と郵送で請求する方法の2つの方法があります。
遠方に本籍がある場合、郵送で請求して取り寄せることも可能ですが、取り寄せるまでに時間がかかることも多いため、早めの準備が鍵となります。
自動車検査証(車検証)
車の登録内容(所有者や車両情報)を確認し、変更内容を反映させるために必要となります。名義変更の基礎となる書類です。
遺産分割協議書
車は相続財産なので、相続人全員の合意がないと誰が引き継ぐか決められません。そのため、相続人全員(新所有者となる相続人を含む)が実印を押印した書類が必要となります。
※未成年者がいる場合は、代わりに「特別代理人」の押印が必要になるため、注意が必要です
遺産分割協議書は相続人間での争い防止という視点でも重要な書類です。
新しい所有者(代表相続人)の印鑑証明書と実印
印鑑証明書は発行後3か月以内のものが求められます。
車庫証明書
相続後も同じ住所で車を保有する場合などは、名義変更に際して車庫証明書が不要となることもあります。る名義変更の場合などは不要とされる場合もあります。
上記は、車の相続人(新所有者)が一人に決まり、その人が手続きを行う単独相続のケースです。もし、相続人全員で名義変更する場合は、印鑑証明書と実印は、相続人全員分が必要となります。
なお、車の価値が100万円以下の場合、下記2点が不要になります。
- 遺産分割協議書
- 戸籍謄本(相続人全員の記載があるもの)
代わりに、下記の書類が必要となります。
- 新しい所有者が相続人であることを証明できる戸籍謄本
- 遺産分割協議成立申立書
- 査定額100万円以下の車であることを証明できる書類
このように、単独相続かどうか、また車の価値が100万円を超えるかどうかによって、必要な書類が異なります。漏れのないよう、しっかり準備しておきましょう。
自分で名義変更の手続きをする場合の流れ
親の車の名義変更は、自分で行うことも可能です。ただし、書類の準備や運輸支局での手続き、場合によってはナンバー交換など、慣れていない人には大きな負担に感じられることがあります。また、平日昼間しか対応していない窓口も多いため、スケジュールを事前にしっかり立てておくことがポイントです。
遺品整理で他にもやることが多い場合や、自分でできるか不安が大きい場合は、遺品整理業者に相談するのも一つの選択肢です。
管轄の運輸支局での具体的な流れ
陸運局での車の名義変更では、申請書の記入、必要書類の提出、手数料の支払いを行います。その後、新しい車検証が交付されるので受け取り、最後に税金を申告・納付します。ナンバープレートの変更がある場合は、ナンバープレートの取り外しや交換を行います。
書類に不備があると手続きが完了しないため、事前にしっかり調べて必要なものを用意し、時間に余裕を持って訪問することが大切です。
費用の目安
普通自動車の場合、4,000〜6,000円程度です。内訳としては、
- 移転登録手数料(印紙代)
- 印鑑証明書の取得手数料
- 車庫証明取得費用
- ナンバープレート代(必要な場合)
などがあり、多めに見積もっても1万円程度を用意しておけば十分でしょう。
遺品整理業者に任せる場合、どこまで対応してもらえるの?
遺品整理業者は車の名義変更を直接行うことはできませんが、行政書士や司法書士といった専門家と提携している業者も多く、遺品整理の一環として一緒に依頼することが可能です。
名義変更の手続きをまとめて進められる安心感がある一方で、業者によって対応範囲が異なるため、どこまで依頼できるのかを事前に確認することが大切です。
業者に頼める範囲と頼めない範囲
遺品整理業者と契約する際は、業者がどこまで対応できるのかを事前にしっかりと確認することが重要です。
遺品整理業者は、車の引き取りや売却先の紹介、廃車手続きの代行などの支援は行えますが、名義変更のような法的手続きは行政書士や司法書士といった専門家に代行してもらうか、本人が対応する必要があります。
そのため、厳密にはすべてを遺品整理業者が進められるわけではありません。ただし、先ほども触れたように、行政書士や司法書士といった専門家と提携している業者であれば、遺品整理と車の名義変更を一つの窓口で対応することが可能です。
遺品整理業者と行政書士や司法書士などの専門家との違い
遺品整理業者と、行政書士や司法書士といった専門家との大きな違いは、法的書類の作成可否にあります。
行政書士や司法書士は、法律に基づく書類の作成や提出代行ができる国家資格者です。一方、遺品整理業者は、文字通り遺品整理が主な業務となります。
遺品整理業者に頼むメリット・デメリット
遺品整理業者に車の処分を依頼する最大のメリットは、自分で運輸支局へ足を運ぶ手間を省けることです。これにより、時間的な負担を大幅に軽減できます。
一方、デメリットは、代行を依頼することで費用が発生する点です。そのため、自分で手続きを進めるよりも費用がかさむ場合があります。
費用と手間、このバランスを考慮し、どちらを優先するかよく考えて決めるようにしましょう。
名義変更と売却、どちらがおすすめ?
亡くなった親の車をどうするか、多くのご家族が直面する問題と言えます。選択肢としては、名義変更をしてご家族が乗り続ける方法があります。しかし、維持費や税金、保険料などの負担が伴うことを考えた場合、車を売却してしまうのも一つの選択肢です。
名義変更の方が良いケース
親の車に思い出が詰まっていて、手放せないという方も多いでしょう。その場合は名義変更を行い、家族が乗り続ける方法があります。ただし、維持には保険や税金などがかかるため、経済的負担も考慮する必要があります。
売却した方が良いケース
もし、製造年式が新しい車や人気の車種、あるいは走行距離が少ない場合は、売却を検討するのも一つの方法です。維持費や税金を払い続けるよりも、売却することで現金を手にできますし、得られた売却益は遺産として相続人間で分配することも可能です。
ただし、売却の際は故人名義のままでは売れないため、名義変更の一時的な手続きが必要です。
相続放棄を検討している場合の注意点
親が多額の借金を抱えていた場合など、相続放棄を考える方もいます。相続放棄をすると遺産を一切引き継がないことになりますが、もちろん車も引き継ぐことはできません。
そのため、車の名義を変更したり売却する行為は「財産を処分した」とみなされ、相続放棄が無効になる可能性が非常に高くなります。
月極の駐車場に置きっぱなしで毎月の請求が来るからといっても、相続放棄を考えている場合は、勝手に売却したりしないようにしましょう。
まとめ
親が亡くなった後の車の名義変更は、遺品整理の大切な一環です。放置すると思わぬトラブルに繋がるため、早めの対応が大切です。
自分で手続きを進める方法もありますが、必要書類や相続人の同意など、ハードルが高い場面も多いもの。もし、不安を強く感じるようでしら、遺品整理業者や行政書士の力を借りながら、無理なく進めることをおすすめします。
もし遺品整理業者を探しているがどこに頼めば良いか分からないと迷われているようでしたら、お問い合わせフォームや公式LINE、 もしくはお電話(0120-536-610)の中からご都合の良い方法で、ぜひお気軽に私たち遺品整理ロードにご相談ください。
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お問い合わせ後に無理な売り込みをすることはありませんので、安心してご依頼ください。
また、どんなささいなことでも気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。