
孤独死や事故死が発生し、死後しばらく経ってから発見された場合には、専門的な特殊清掃が必要になります。特に浴室は、体液や排泄物が床や排水口、配管内部にまで広がることがあり、配管洗浄が作業に加わるなど、費用も高額になる傾向があります。
この記事では、不動産管理会社のご担当者さまを主な対象としながらも、費用負担や対応に関わる可能性のあるご遺族の方にも参考になるよう、浴室の特殊清掃にかかる費用の内訳や相場、作業の流れ、業者への依頼時の注意点をわかりやすく解説します。
信頼できる業者選定、またオーナーや遺族とのスムーズな対応にお役立ていただければと思います。
目次
浴室での特殊清掃はどのようなときに必要?
孤独死で必要になるケースが多い
浴室での死亡において最も多い原因は、高齢者の持病やヒートショックなどによる孤独死です。さらにご遺体の発見が遅れた場合、体液や血液が床や排水口に浸透し、腐敗臭や雑菌が広がるなど、深刻な状況になることがあります。
浴室は湿気がこもりやすく、汚れがこびりついたり、素材に浸透してしまうことがあるため、通常の清掃では対応しきれないケースもあり、このようなケースで特殊清掃が必要となります。
腐敗や異臭、汚染が激しく自力対応は困難
浴室は湿度が高く密閉性もあるため、遺体の腐敗が特に早く進行しやすい環境です。また、浴槽内に体液が溜まっていたり、体液が排水口から排水管内部にまで流れ込んだ場合は、一般的な清掃では対処ができず自分たちで処理するのはほぼ不可能です。
さらには、腐敗にともなって細菌やウイルスが繁殖する可能性があり健康被害のリスクも高まるため、こうした状態の清掃を素人が安易に行うのは非常に危険です。
こうした現場では、専門の薬剤や機材、防護服を備えた特殊清掃業者による対応が不可欠であり、安全かつ確実に原状回復するためには、専門家に任せることが最善の方法です。
浴室の特殊清掃の費用相場と内訳
基本相場はおおよそ5万〜20万円前後
浴室の特殊清掃費用は、5万円〜20万円程度が相場とされていますが、これはあくまで一般的な清掃の目安であり、現場の状況によって大きく変動します。
たとえば、死後の発見が早く、体液や臭気の拡散が少ない場合は10万円以内で済むこともある一方で、ご遺体の発見が遅れ腐敗が進行しハエやウジなどの害虫が大量に発生している、また床材や壁材の解体や配管の洗浄が必要など汚染がひどい場合には、20万円を超えるケースも珍しくありません。
費用に影響する主な要因は、「汚染の程度」「作業内容」「ニオイの強さ」「作業時間」などです。また、正確な金額を知るには、専門業者による現地見積もりが必要です。
内訳に含まれる主な作業内容とは?
特殊清掃の費用には、単なる清掃作業にとどまらず、さまざまな工程が含まれますが、この章ではその基本的な各工程について詳しくお伝えします。
基本的な工程としては、遺体痕の除去、害虫駆除、除菌・殺菌、オゾン脱臭機などを用いたニオイの除去があげられます。また、必要に応じて床材や壁材の撤去、搬出作業、配管内部の洗浄や交換なども加算されることがあります。
状況によっては、原状回復のための簡易リフォームを含んだパッケージを提供している業者もあります。
害虫駆除(ハエ・ウジなど)
腐敗が進行すると、ハエやウジといった害虫が大量に発生します。特に高温多湿な浴室では、腐敗物が害虫の温床となりやすく、死後の経過時間が長ければ長いほど大量発生の可能性が高まります。
ハエは腐敗体に卵を産み、そこからウジが発生するため、ハエが発生し続ける環境となってしまいます。
特殊清掃では、こうした害虫を徹底的に駆除する作業も含まれています。専用の業務用殺虫剤やエアゾール噴霧による空間・接触型の駆除が行われ、害虫の発生が広範囲に及ぶ場合には、燻煙処理(くん煙剤やミスト剤)を用いた徹底駆除が行われることもあります。
駆除後は、害虫の再発を防ぐために徹底的な清掃と消毒を行い、清潔な状態に戻すことが求められます。害虫駆除は業者によっては基本費用内に含まれず、追加料金になる場合もあり費用にも影響することがありますが、衛生面・安全面から見ても非常に重要な工程です。
汚染物除去・除菌
浴室での特殊清掃において重要なのが、「汚染物の除去」と感染症リスクを防ぐための「除菌」です。
腐敗により発生する体液や血液には雑菌やウイルスが含まれており、特に湿度の高い浴室ではそれらが急速に繁殖する恐れがあります。作業者は防護服やマスクを着用し、専用の薬剤を使用して徹底的な除菌・消毒を行います。
作業では、床や壁の表面だけでなく、排水口の奥まで汚染が及んでいることもあり、単なる拭き取りだけでは済まないケースが多くあります。必要に応じて床や壁の解体や洗浄を行い、目に見えない細菌やウイルスも確実に除去することが求められます。
こうした丁寧で専門的な処理によって、衛生的な状態を回復させるのが特殊清掃の大きな役割です。
消臭処理(オゾン脱臭など)
浴室だけではありませんが、特殊清掃において強烈な腐敗臭に対する消臭処理は、最も重要な工程です。
腐敗臭は壁や床材だけでなく、室内の空気自体に染みついており、通常の換気や消臭スプレーで除去することは不可能です。そのため、オゾン脱臭機を用いて臭いの元となる分子を酸化分解し、根本から消臭を行います。ニオイの強さや範囲によっては、数日間連続してオゾン脱臭を実施することもあります。
また、オゾン脱臭と併せて、ニオイの吸着効果を持つ薬剤を散布するなど複合的な消臭処理を行うこともあり、より確実にニオイを除去します。
不用物の片付け
特殊清掃の現場では、汚染されたタオルやマット、腐敗臭が染みついた日用品など、通常の「一般ごみ」として処理できないものが多く残されます。
これらは感染性廃棄物や産業廃棄物として扱われ、専門の業者が法令に基づいて回収・分別・処分を行います。作業で使用した防護服や清掃資材も同様に、安全に袋詰めされ搬出されます。
費用が高くなりやすい要因とは?
死後発見までの時間
浴室での特殊清掃費用が大きく左右される要因のひとつに、「死後どれだけ時間が経過しているか」があります。
ご遺体が早期に発見されれば汚染範囲は限定的で、清掃も比較的簡単に済みますが、数日から数週間経つと体液や汚物が広がり、場合によっては排水管にまで流れ込んでしまいます。
こうした場合、表面的な清掃だけでなく、床材や壁材の解体、ユニットバスの交換などの大掛かりな作業が必要になるケースもあり、作業時間と手間が増えるため費用が大幅に上がります。
作業範囲(脱衣所・配管・下階への影響)
浴室の汚染が脱衣所や洗面所にまで及んでいたり、配管を通じて下階への漏水が確認された場合、清掃や修繕の作業範囲は大きく広がります。
特に下階漏水が発生すると、階下の居住者との調整も別途必要になり、修繕費用だけでなく謝罪対応など、特殊清掃の費用とは別の負担も発生します。
特殊清掃業者の選び方・注意点
実績と専門性の確認
浴室の特殊清掃は、一般的な清掃とは異なる専門知識と技術が必要です。特殊清掃を行っているのは特殊清掃業者の他に遺品整理業者もあります。多くの遺品整理業者は特殊清掃にも対応していますが、私たちもまさにこのケースです。
孤独死や特殊清掃に関する専門的な知識やノウハウを持っているかどうかも重要な判断基準となりますが、それを素人が判断するのは難しいため、まずは気になった業者があれば、ホームページや直接の問い合わせなどを通じて、過去の類似事例(特に浴室での孤独死や事故現場の清掃経験)の実績を確認すると良いでしょう。
見積もりと料金体系の透明性
複数の業者から見積もりを取り、相場感を把握するとともに料金体系が明確であるかを確認しましょう。見積もりの内訳を詳しく説明してくれる業者を選ぶことが大切です。
多くの業者は「見積り後の追加料金なし」と謳っていますが、見積り時にはなかったことを追加で依頼する場合は、当然費用も追加になる可能性が高いので、どのような時に追加費用が発生するか事前に確認し、納得のいく料金体系であるかを見極めましょう。
口コミ・評判の確認
ホームページのお客さまの声や、Google口コミなどを通して業者の評判も確認しておきましょう。
実際にサービスを利用した人の声は、業者の信頼性や対応の質を知る上で参考になります。ただし、口コミの内容を鵜呑みにするのではなく、複数の情報を総合的に判断するようにしましょう。
別記事になりますが、口コミを確認する際の注意点などをまとめた「遺品整理や特殊清掃の口コミは信じてよいのか? | 口コミの注意点などをプロ目線で解説!」もぜひ参考にしてみてください。
対応の丁寧さとコミュニケーション
問い合わせ時の対応の早さや丁寧さ、質問に対する分かりやすい説明は、信頼できる業者かどうかの判断材料となります。作業内容や進捗状況についても丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。
意外と業者との相性は重要なポイントです。対応に違和感がないかどうか、また、ご遺族の気持ちに寄り添ってくれる業者かどうか、注意深く見ておくことをおすすめします。
業者選びについては「失敗しない特殊清掃業者の選び方 | 業者選定前に知っておくべきこと」も参考になると思います。
特殊清掃の依頼から作業完了までの流れ
問い合わせ・相談
まずは電話やメール、ホームページのフォームなどを通じて、問い合わせします。場所、現在の状況、発見時の状態などを具体的に伝えると業者も状況を把握しやすくなります。
もし、この時点で不明な点や不安なことがあれば、遠慮せずに質問しましょう。
現地見積もり
多くの業者は、正確な見積もりを出すために現地調査を行います。専門のスタッフが現場を訪問し、汚染状況、臭いの程度、作業範囲などを詳しく確認します。
その後、詳細な見積もりと作業内容の説明を受けます。この際に、疑問点や要望をしっかりと伝え、納得のいくまで話し合いましょう。
LINEやメールで写真を送り見積もり対応する業者もありますが、正確な見積もりが欲しい場合は、業者に現地を訪問してもらい、見積もりしてもらうことをおすすめします。
契約、作業日調整
見積もり内容に合意したら、契約を締結します。契約書には、作業範囲、料金、支払い条件、保証などが明記されているかを確認しましょう。
その後、業者とスケジュールを調整して作業日を決定します。
特殊清掃作業の実施
特殊清掃を行う専門スタッフが機材や薬剤を持参し、特殊清掃作業を実施します。除菌、汚染物の除去、消臭作業など、見積もりで合意した内容に基づいて丁寧に作業が進められます。
最終確認
作業が完了したら、現場を確認します。もし現場に足を運びたくない場合は、無理に確認する必要はありません。その場合は、写真や口頭での説明を通して確認いただきます。
臭いや汚れがしっかりと除去されているか、作業範囲に問題はないかなどチェックしましょう。気になる点があれば、遠慮せずに業者に伝え、対応してもらうようにしましょう。
支払い
最終確認が完了し、納得がいったら、契約内容に基づいた料金を支払います。支払い方法は、現金、銀行振込、クレジットカードなど、業者によって対応している支払い方法は異なるので、事前に確認しておきましょう。また、領収書は必ず受け取るようにしましょう。
費用が高くなりやすい要因
死後発見までの時間
浴室での特殊清掃費用が大きく左右される要因のひとつに、「死後どれだけ時間が経過しているか」があります。
ご遺体が早期に発見されれば汚染範囲は限定的で、清掃も比較的簡単に済みますが、数日から数週間経つと体液や汚物が広がり、場合によっては排水管にまで流れ込んでしまいます。
こうした場合、表面的な清掃だけでなく、床材や壁材の解体、ユニットバスの交換などの大掛かりな作業が必要になることも多く、作業時間と手間が増えるため費用が大幅に上がります。
作業範囲(脱衣所・配管・下階への影響)
浴室の汚染が脱衣所や洗面所にまで及んでいたり、配管を通じて下階への漏水が確認された場合、清掃や修繕の作業範囲は大きく広がります。
特に下階漏水が発生すると、階下の居住者との調整も別途必要になり、修繕費用だけでなく謝罪対応など、特殊清掃の費用とは別の負担も発生します。
当社で実際に対応した特殊清掃の費用例
浴槽内消臭と給水口等の清掃:132,000円
浴槽内で亡くなり死後1〜2カ月の状態で発見された現場。浴室は比較的綺麗でだったのですが、浴室内の消臭と見えない給水口・排水口の中も清掃したいとのご依頼を受け当社で対応しました。
浴槽内特殊清掃と消毒・消臭:227,000円
浴槽・洗面台・トイレが一緒の3点ユニットバスで孤独死し、死後2〜3ヶ月経って発見された現場。浴室内だけでなく、他の部屋にもニオイが残っているとのことでアパートの一室全体を消臭・消毒。また、浴室内はもちろんお部屋にあった遺品も合わせて搬出しました。
浴室特殊清掃・浴槽薬剤洗浄:100,000円
浴槽内で亡くなり死後3〜4カ月経って発見された現場。浴槽内でお亡くなりのため薬剤洗浄を実施した他、消毒剤を噴霧する処置を行いました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。浴室の特殊清掃費用について、この記事を読む前よりは理解が進んだのではないでしょうか?浴室だけに限ったことではありませんが、特殊清掃は素人の方が簡単にできるまのではなく、またやるべきでもありません。プロに依頼すべきです。
もし、どの業者を選べば良いか迷っているようでしたら、お問い合わせフォームや公式LINE、 もしくはお電話(0120-536-610)で、ぜひお気軽に私たちにご相談ください。
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また、どんなささいなことでも気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。